7月号 IT裁判のはじまり
★2025年の改革
裁判のIT化が進行している。弁護士は事業者が指定取り消し処分を受けたときに依頼があると取消訴訟を提起する。その提訴もオンライン化とされる。オンライン化するためには提出する事件記録をデータ化しなければならない。
事業者から預かる書類をスキャナやカメラでデータ化する。被告となる行政庁も同様に大量の書証を提出するときはデータ化の手間がかかる。しかも2025年からの新システムは全て書類はデータ化されるから,一定の鮮明度がないと見えなくなる。
提出ファイルは改ざんできないのが条件だが、原則PDFなど汎用のものになる。だから内容の真正も課題だ。元データと提出されたデータが同じものでなければならない。
主張書面はワードで作成しPRFに変換する。署名押印にかわる措置も登場する。
新システムのアカウント取得時に付与されるIDとパスワードが署名押印にかわるだろう。携帯電話による多要素認証が導入されるそうだ。
★訴え提起
ミンツによるオンライン申立てを行うためには,行為者を特定し,アクセスを制御するためアカウントが必要になる。訴訟代理人は裁判所ごとに訴訟代理人アカウントを取得する。全国どこでも可能だ。当事者にかわってオンライン申立てができる。当事者も本人アカウントを取得すればオンライン申立てが可能だ。
補助者(事務員)のアカウントも必要なら取得することができる。補助者は弁護士のプライムアカウントにかわり,全ての操作を行うことが可能だ。
2025年から弁護士は訴訟を提起するとき,オンライン申立てが義務化される。
訴えを提起するとき,管轄裁判所,事件名,当事者情報,訴額など類型的な情報はあらかじめ決まったフィールドが用意される。
個別事件の請求の趣旨,請求の原因など現在も非定型の文章で書く情報は,いままでどおりワードを使って書いて,PDFなどのファイル形式で提出する。提出ボタンを押したときに訴状提出は終わる。正本副本を提出するが送達はどうするかは,今のところ謎だ。