介護裁判新聞2月号 聴聞手続長崎ものがたり
聴聞手続 長崎県庁にて
先日,1月26日の10時から長崎県庁にて聴聞代理人として出頭。行政庁は長崎県県知事,補助機関は監査指導課。予定の不利益処分は児童福祉法の放課後等デイサービス指定取消処分だ。これは重い。
第1回期日が1月18日で26日は2回目の期日。
相談の電話があったのは1月22日(金)。近々だ。
期日延期を申し入れたところ,26日に実施するとのこと。25日だったのが1日伸びただけ。数十件の経験の中でも初めてでオドロク。
不利益処分の原因となる事由は何か。
不正請求(障害通所給付費)と,虚偽報告が4つ。それだけみるとアウトだが,内容を聞いて驚いた。
虚偽報告は,たんに帳簿書類の中身が事実違うというだけで,報告を命じられたものではない。不正請求は,保育士の数が基準に満たないというもらしいが,基準に関する省令も条例も記載がない。どのような資料からどんな事実を認定して,基準に当てはめたのかわからない。聴聞通知書の記載がデタラメにちかい。即,オーナーと期日に出頭することにした。
聴聞は常に「アウェー」の世界。今回は長崎県庁の新庁舎3階の部屋だが,主宰者,行政庁から職員7名,記録員2名の合計10名が座っていた。私たちは二人。寂しい。
さて10時ゴング開始。行政庁職員がなにやら口頭でいっている。人員欠如の事実関係を口頭で説明しているようだ。 理由がわからん。私も口頭で事実証明文書の閲覧を請求した。行政庁は目に見えて慌てている。
そして「今ごろ閲覧するというのはどうか」という。知らないようなので,行政手続法18条は聴聞終結まで閲覧請求できることを説明。おまけで,熊本市や川崎市では,閲覧許可をもらい,閲覧日時を指定していることも説明。
この時,室内には段ボール4箱くらいの資料が置いてあった。行政職員は「閲覧したいなら,今みろ」と言い放つ。 明らかにいやがらせだ。それなら関係者の確認調書も全部見ていいのかというと,それはダメだという。法的なやりとりが続いた。責任者らしい職員が抵抗できないと思ったのか,一旦休憩となった。
私も準備してきたので,主宰者に質問をさせて欲しいと要求。許可されたので,マチガイだらけの不利益処分の手続きについて指摘(講義?)。見当違いであることについて言及。
午後11時半ころ聴聞終了。
次回期日は決まっていない。この事業者さんは事業廃止届けを出していた。児童福祉法には,聴聞中の事業廃止届けに対する制約がないが,これは介護保険法などとちがう点だ。 この顚末は3月号で紹介したい。